禰宜田佳男氏(文化庁 主任調査官) 講演「近畿における石の刃物と鉄の刃物」より整理
弥生の後期 近畿での鉄器での出土数は 九州や山陰・丹後・北陸の鉄の先進地と比べ はるかに少ない。
しかし、この時代の石器の減少を通して鉄器が普及。 「見えざる鉄器」の存在に着目して、鉄器化の実態を考えねばならないという。
高地性集落が東瀬戸内・大阪湾沿岸に数多く出現する弥生の戦さの時代でもある。
五斗長垣内遺跡はそんな時代に近畿に現れた大規模な鍛冶工房遺跡である。
また、禰宜田佳男氏は 明石海峡を挟んで淡路島がすぐ目の前 播磨と摂津の国境地帯をなす明石川領域は西から東への交流路の重要地点と指摘する。
六甲山脈の険しい山並みが神戸の西で海に落ちる地点で丘陵地が連なるところで、この明石川沿いは早くから開け、幾つもの高地性集落を伴う弥生の集落群があった。六甲の山並みと明石海峡の急流に阻まれ、弥生・古代の流通路は海岸沿いを離れ、明石川を遡って山を越えてゆく。鉄器や青銅器が近畿で一番早く出土するなどの先進地であり、石器流通、鉄器・青銅器流通における拠点ではないかという。
(玉津田中遺跡で鋳造鉄斧の柄(中期) 表山高地性集落遺跡で近畿で一番古い
小形ホウ製鏡の出土 )
明石平野(明石川流域)の弥生時代の遺跡分布