我が国の鋼材開発は過去
40年間大規模に行われ、
鋼特性は目覚しく進歩し、日本が誇る高級鋼材が誕生した。
これらの鋼板は同時に優れた靭性を有し、しかも厳しい環境
下での溶接施工から高溶接性も具備していることが必須条件
でした。
これらの高溶接性・高強度・高靭性を具備した高級高張力鋼
板(厚板)の開発が、溶接技術・加工技術・設計技術など周
辺のものづくり技術開発とあいまって、日本の産業基盤の整
備に書くことの出来ない材料として、日本の高度成長・産業
立国の基盤を作ってきた。
特に水圧鉄間管は水力発電所で水車に水を導く急勾配の送水
管で、内側に高い圧力を受けるため、大型の発電所建設のた
めには、極厚のこの高級鋼板の実用が必須であった。
高度成長が始まる目前 逼迫する旺盛な電力需要を賄うため
の大規模発電所建設にあわせ、まだ鋼材規格が整備される前
から、この高級高張力鋼板開発の先駆的実用開発を官民挙げ
て推進して、大規模発電所の建設にあわせてきた。
特に昼間と夜間の電力ギャップを賄う大型揚水発電所の建設
ラッシュに合わせた技術開発は当時の先端技術開発の牽引車。
現在では、落差の大きな水圧鉄管に使用される鋼材は引張強
度980N/mm2級の超高強度鋼で、しかも200mm厚を超え
るまでに至っている。
鉄鋼の分野でいうと、この水圧鉄管を中心とした高級高張力
鋼鋼材の技術開発が、その後の本四架橋・海洋構造物・タン
ク・高層ビル建設用鋼材などの高級高強度鋼板へと展開され
ていったのである。
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