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弥生時代後期の鍛冶工房跡 淡路市 垣内遺跡 概要
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1.1. 垣内遺跡の調査のあらましと遺跡概観
0603kaitoa01a.htm
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明石海峡から淡路島に入った淡路鳴門自動車道は、淡路島の西海岸沿いに南北に山々が連なる丘陵地を南西に抜け、
瀬戸内側の西海岸沿いに。すぐに今度は再度丘陵地を南方向に大きくカーブして抜けてゆく淡路市黒谷(旧北淡町黒谷)地区。
このカーブの頂点位置である海岸に北淡ICが設けられ、両側を山に挟まれて狭いなだらかな丘陵地が奥の山裾へ伸びている。
垣内遺跡はこの海岸から約3km奥に入った淡路市黒谷の五斗長地区のなだらかな丘陵地の尾根筋の標高約200m台地の上東西
約500m 南北約100mに広がる弥生時代後期(西暦50〜220年頃)と中世(西暦1200〜1400年頃)の遺跡。
平成13〜16年に行われた分布調査で垣内遺跡発見され、その後 五斗長地区圃場整備事業に伴って、平成19・20年度の2年
間にわたって垣内遺跡(17884u)の発掘調査が実施され、鉄製品やその未完成品、鉄素材や鉄器作りの際に出る鉄片などと
共に鉄器作りに使ったと見られる石製工具類、多数の炉跡を有する建物跡(鍛冶工房跡)が発見された。
全部で17棟の建物遺構が発見され、そのうち10棟が鍛冶工房跡と鍛冶工房跡の割合が高く、この地が「大鍛冶工房村」の様相
を持っている。
鉄器が重要な役割を演じたといわれる古墳時代と大和王権の誕生へとつながる重要な弥生後期の「大鍛冶工房村」の出現である。