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卑弥呼の時代からの大陸への玄関口 若狭・北近江の「若狭街道」 2008.9.1.
9. 大陸・朝鮮半島の鉄をもとめて続く若狭・北近江の 「和鉄の道」を訪ねる 



1.  北近江 琵琶湖北岸の饗庭野丘陵地 「 高島市 熊野本 」     0810wksa01a.htm
 安曇川左岸 饗庭野丘陵 「鉄の加工工房があったという弥生の熊野本集落遺跡」
JR湖西線 新旭駅から見た西に広がる饗庭野丘陵  中央部が熊野本遺跡の位置

   実りの秋を迎えた琵琶湖西北の湖岸 安曇川の北側に広がる新旭町熊野本周辺から饗庭野丘陵地  
                               丘陵地中央下段(○印)の丘が熊野本遺跡群   2008.9.1.

大量の鉄を出土し、「弥生の鉄器加工工房?」といわれる弥生の高地性集落「熊野本遺跡」の位置
谷を挟んで北側にこの地の首長たちの墳墓群「熊野本古墳

   比良の山裾 黄金色の田圃が広がる安曇川                             新旭駅手前の安曇川鉄橋より .
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9.1. 快晴の早朝 神戸 7時20分発湖西線の新快速「敦賀」に乗る。また、夏の青春18切符である。
今回は新旭駅で降りて、弥生時代の高地性集落「熊野本遺跡」を訪ねた後、再度湖西線で近 江今津に出る。
そこから若狭小浜行のJRバスで水坂峠越の若狭街道を上中町へ。
5世紀いち早くこの大陸への玄関口の要衝の地で大和と結び、前方後円墳や前方後方墳の墳墓を築いた首長一族の王墓「若狭上中町脇袋古墳群」を訪ねる。午前中に熊野本遺跡の見学が終り、午後は若狭街道の古い家並みが残る「熊川宿」を訪ね「若狭上中町脇袋古墳群」へ青春18切符を持っているので、時間があれば 帰りは敦賀まわり。ざっと こんな計画でスタート。
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「鉄の道」を意識して「若狭街道」を訪ねるのは初めてであるが、何度か車やバスで通った 街道筋。
若狭といっても新快速が走る関西電車圏の延長みたいなもの。全く電車・バスの時刻表も調べず、
出たとこ勝負。京都からトンネルを抜けて琵琶湖岸に沿って 比叡・比良の山裾を北へ。
残念ながら蓬莱・打見の比良の山は雲の中。蓬莱山莱山には今はロープウェイ がかかっている。
学生時代よく登った比良の谷筋を眺めながら、正面谷を渡ると湖岸に砂浜が広がる近江舞子。
比良の山裾を抜けて湖北に入ると山々が西に少し後退し、湖岸まで一面に黄金色の田圃が広がる高島平野。

秋の実りをつけ美しい。京都・滋賀・福井の県境の山々が周囲を取り囲こみ、北西にみえる山々の三県境界の辺りから東へ安曇川が高島平野の中央を流れ下り、琵琶湖へ注ぐ。京都から比良の山々の裏側をまっすぐ北へ上ってきた若狭・京街道(朽木街道)が高島平野への出口朽木 でこの安曇川と出会い、若狭・京街道はそのまま山中を北へ水越峠へと山間をのぼって行く。
また、高島平野の北側のもうひとつの中心地 近江今津から、石田川沿いを西に登ってきた若狭街道と水越峠の下で合流して若狭へ下りって行く。

安曇川を渡ると饗庭野丘陵を背後に湖西線新旭駅周辺 湖西線の車窓より 新旭周辺 2008.9.1.

 

   湖西線 新旭駅周辺   2009.9.1.
.神戸から約1時間半 琵琶湖 へ注ぐ安曇川の鉄橋を北へ渡るとすぐJR新旭駅。駅の西側 田園地帯の向こうに南北に細長く続く饗庭野丘陵が見え、電車はスピードを落としながら新旭駅へ。  西側に細長く饗庭野丘陵が北へ続いている。 地図では「熊野本遺跡」は新旭駅で降りてまっすぐ西へ約1kmちょっと饗庭野丘陵地の山裾にぶち当たったところあたりが、熊野本遺跡である。丘陵地も見えているので、うろうろすることはない。
JR新旭駅のある安曇川の北岸一体はもともと新旭町なのですが、平成の大合併で高島郡5町1村 (新旭町を中央に南の高島町、安曇川町、北の今津町、マキ ノ町、西の朽木村)が合併して誕生し、新旭に市役所が置かれている。10人ほどが下車して午前9時 新旭駅の改札を出る。  
駅員に熊野本遺跡について尋ねるが、駅を出て、すぐから熊野本の地であるが、熊野本遺跡は知らないし、あるのは風車村のハンプのみ。案内図もないという。 駅横に観光案内所があるのでそこへ行けという。 案内所も似たようなもので、熊野本遺跡など観光で訪ねる人はなさそうで、状況は良くわからない。熊野本遺跡の位置が印された新旭の観光案内図をもらった。 
いま、力を入れているのは どうも 熊野本遺跡のある饗庭野丘陵の南端部を登るハイキングのようだ。

鎌倉から戦国時代にこの地周辺を治めた領主高島氏の居城・屋敷跡が残っていて、この山城を巡る遊歩道が丘陵地の上に整備され、山裾の森林スポーツ公園ほか  新旭の観光名所が記され、そのマップの端に熊野本遺跡丘陵地の丘を開発した別荘地の一角に入るとあまり手入れされていぬ雑木林が広がり、その中の一 角が遺跡らしい。
どうも様子が違うなあ・・・。まあ 製鉄関連遺跡といえばそんなもの。
行けば 案内板が残っているかもしれなの位置が印されている。
「行くの?」と笑われながら、熊野本の丘陵地周辺の市街地図もコピーしてもらって出発する

この丘陵地に沿ってよく整備された道を北へ 写真右端の建物のところを西へ回りこむと熊野本遺跡の丘陵地

   駅からまっすぐ丘陵地の山裾へ     森林スポーツ公園      山裾の道路と平行して灌漑用水路 
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     駅前の商店街を抜けると正面の饗庭野丘陵地まで、まっ黄色の田園が広がる  2008.9.1.

誰もいない林の中にいかにも古そうな大きな木が両側に立ち並ぶ参道の奥に小さなお堂があった。
案内板によると10世紀平安時代の千手観音菩薩が祭られているという。
駅をでて、まっすぐ西へ丘陵地へむかう。

駅前の商店街を抜けると田園地帯。稲穂がたれる中をきょろきょろ楽しみながら15分ほどで森林スポー
ツ公園のコートの横 丘陵地に沿う道に出る。そのまままっすぐ丘陵地へ上って行くと清水山城
北へ道を取る善林寺・大泉寺への案内標識が角にある。

残念ながら熊野本遺跡は案内されていないが、マップと照合しながら北へ丘陵沿いの道を行く。
車の通る大きな道であるが、並木が植えられた歩道が整備され、灌漑用水が傍を流れる気持のいい散策路
古いお寺や神社が点在する歴史の道。丘陵沿いのこの道の上が熊野本遺跡であるが道がない。

少し進んで丘陵地の先端を西へ回りこんで谷間から丘陵地の上へ出るように道がある。
途中 善林寺・佐々木神社の標識があり、このお寺を丘陵地へ登れるかもしれないとの森の中へ。
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          丘陵地の山裾 静かな林に包まれた善林寺の境内 

          丘陵地の上へ登ってゆく十字路  2008.9.1.
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境内からは奥の丘陵地へ上る道がなく、元の道にもどり少し行くと、丘陵地の谷間に入って上ってゆく道
との十字路。角に案内標識があり、熊野本古墳群0.3KMの名がある。やっと見た熊野本遺跡への案内標識。
標識に従って、丘陵地の縁を回り込 んで西へ上ってゆくと程なく左へ丘陵地の上へ登る枝道の入り口脇に

「←熊野本弥生高地性集落」反対側に雑草に埋もれて「熊野本古墳群」の概要を書いた案内 板がありました。
ここが丘陵地の丘の上を開発して別荘地として売り出された場所。
入り口の道端のばあさんの話ではほとんどが時折やってくる人たちで、常住している人は極わずかとか。

         熊野本遺跡・熊野本古墳群のある別荘地へ登ってゆく入り口  2008.9.1.
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まったく人の気はいが感じられない道を少し登ると道脇の草むらの中に、熊野本古墳群の概要を記した
大きな案内板がある。人のいない別荘地の森の中で、集落跡や古墳群を探せるか ちょっと心配になっていたところなので、
やれやれである。

別荘地へ登ってゆくみちにある熊野本遺跡・熊野本古墳群の配置を概説した案内板  2008.9.1.
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登ってゆく道路の方向にあわせて、上が南。 手持ちの地図と見比べるとちょっとややこしいが、登ってゆく左手丘の別荘地の中が鉄 素材を出土した弥生の高地性集落「熊野本遺跡」
右手の丘が古墳時代の幕開け頃築かれた古墳群「熊野本古墳群」である。
地図の上に遺構や古墳の位置 また古墳の形が記されているので心強い。しっかり頭に入れなければ・・・・。
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熊野本遺跡・熊野本古墳群の概要を示した案内板 
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丘に登ってわかったのですが、茶色く色づけられた左手は別荘地として開発され、実際に家並みがある場所で、
右手の緑の古墳群のあ る場所は道路・区画が整備されたが、途中で開発が断念され、現在は雑木林と雑草に埋まっている。
この場所全体が、どうも民有地であるため、遺跡の整備も思うにまかせないようだ。
弥生の高地性集落 熊野本遺跡では鉄素材や鉄器などの遺物とともに約40棟の竪穴住居とともに大型掘立柱建物遺構 水銀朱や多数 のガラス小玉・鉄族などの遺物が出土した墳丘墓遺構がみつかっているが、その位置が印されている。
また、古墳時代初期の古墳群 熊野本古墳群では38基の古墳がみつかり、その主なものが形・大きさを考慮して
マークされている。
一番の興味は3世紀半ば 卑弥呼の時代に築かれた前方後方墳(6号墳)と前方後円墳(12号墳)である。
案内板を眺めて、しっかりと位置関係を地図に写す。

 
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0810wksa00.htm  2008.10.1.  by Mutsu Nakanishi