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ベールを脱ぎつつあるユーラシア大陸の東西を結ぶメタル
ロード・鉄の道
西アジアに起源を持ち、ユーラシア大陸を西から東へダイナミックに伝播した「鉄」。そして日本古来のたたら製鉄技術がもたらされた。
村上恭通教授を中心とする愛媛大学東アジア古代鉄文化センターの古代鉄研究チームは、約10年に渡り、中国やモンゴル、トルコ、ロシア・
ハカス共和国、カザフスタンなどのユーラシア大陸
の諸国・日本の研究者をも巻き込んで、
「鉄の起源並びに時代を超えた製鉄技術伝播の道<メタルロード>解明の連携プロジェクト」を推進。
毎年その調査研究についての報告会が愛媛大学で催され、「鉄の起源・鉄のユーラシア大陸伝播の道」の新しい知見・進歩が聴講できる
またとない機会で 毎年聴講参加させていただき、このユーラシア大陸諸国での古代製鉄遺跡の共同発掘調査研究
および研究交流を通じて
得られた数々の発見と知見を教えてもらってきましたが、2015年月の報告会に引き続き、2016年には
成果をまとめ上げ、
この国際連携プロジェクトの
区切りをすると聞く。
〇 トルコ アナトリア高原での鉄の起源と言われたヒッタイト帝国以前の人工鉄の発見し、定説を覆す発見
さらに、人工鉄の起源とパレスチナの銅生産地での銅生産とのかかわり調査を通じ、人工鉄の起源は銅製錬の副産物か?
との提案。
〇 中国の鉄の主要生産地とみられてきた黄河流域以前 中国西南四川 成都高原での蜀・前漢時代の多数の製鉄遺跡の発見と発掘調査を
ベースとする中国への鉄伝来における西南シルクロードの重要性の発見
〇 モンゴル匈奴に代表されるユーラシア大陸中央の遊牧民が 鉄について略奪ではなく製鉄を行っていたことを発見。
ユーラシア大陸中央 森林と草原の境界を走る鉄の伝播の道「草原の道」を通じて 鉄の東伝に大きな役割を果たしていたことの発見
〇 ヒッタイト滅亡後 西アジアから東へ 鉄の伝播の出発点となったコーカサス ジョージア(グルジア)地域の製鉄遺跡の調査と
弧の出発点から東遷する鉄の確認とロシア・西シベリア イルクーツクへの製鉄遺跡の確認
〇 インド・スリランカ・東南アジア伝播の道の調査とスリランカの珍しい自然送風巨大箱型炉を思わせる風炉
等々
この2016年の「連携プロジェクト成果まとめ」のための準備として、各国参加メンバーが一堂に参集し、
このユーラシア大陸を結ぶMetal Road
についての 総合討論する国際シンポジウム
「古代世界の鉄生産
-中近東から東アジアまで- 」が
12月6日午後 大阪天満橋 エル大阪のホールで開催され、 聴講させてもらった。
この国際シンポジュームを聴講させていただいたのを機会にユーラシア大陸を東西に結ぶシルクロード全体を眺めたくて、
今回の記録をベースに 今まで聴講させていただいた記録を集めて収録。
また、最近の鉄の起源 並びにたたら製鉄の謎についても 合わせて レビュー収録しました。
「鉄の起源・鉄の伝播探求 -ユーラシア大陸を東西に結ぶ鉄の道 Metal
Road-」Review 2015作成
2016.1.7. by Mutsu Nakanishi |