また 立杭の登り窯が私の知る萩などでよく見る窯と外見がちょっと違うように思えて
それをしっかり確かめようと家内の話に乗って、立杭に出かけました。
私の家からは 北へ山を越えて行けば、約1時間ほど。
山に取り囲まれた細長い盆地の緑の中の山際に幾つもの窯元が軒を連ね、登り窯の煙突が幾つも見え、
田園を挟んだ反対側には陶芸美術館や陶芸の郷の建物が建つ四季折々に美しい田園風景が見られる。
道筋の山の緑を眺めに何度も訪れたことがある。道すがら 山の合歓の木が花をつけ、素晴らしい。
遠目では なんや この花と思うのですが、アップで写真を撮るとビックリするほど美しい。
箕谷淡河線の道筋で見た合歓の花 2012.7.10.
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箕谷・淡河・吉川・そして大川瀬へと北にまっすぐ山を越え、
大川瀬のダム堰堤を眺めながら舞鶴若狭高速道路の高架をくぐると立杭の盆地の中に下る南の入口三本木峠。
峠を下ると緑の田園の中 見慣れた立杭の風景が見えてくる。
いつ見ても美しい陶芸の里 立杭の風景である。
窯元の立ち並ぶ立杭のやきもの通りは車が置けないので、反対側の山際の丘の上にある陶芸の郷に車を置いて歩くことにする。
【 陶の郷から眺めた丹波焼の郷「立杭」 南北に盆地を貫く街道筋の山際に登り窯が幾つも見え、窯元が並ぶ 】
正面の山際立杭の街へ向かうが北側には盆地の中を川(四斗谷川)が流れくだり、山裾に陶芸美術館 美しい田園風景
立杭の里を南北に貫く街道 県道292号を横切り すぐ南側坂道の入口にやきもの通りの案内板 2012.7.10.
県道292号線の脇から、立杭の町並みの中へと続くやきもの通り入口の坂を登る。
この坂道の上 道に沿って 窯元が建ち並び やきもの通りの名前がつけられている
ふと 足元を見るとこげ茶色の丹波焼の陶板が埋められていて、このやきもの通りの道筋の目印になっている。
坂から立杭の町並みに入ると通りに面するショウウィンドウには丹波焼が並べられ、
隣には渦高く薪が積まれた窯場、そして山腹の傾斜を利用した登り窯とその煙突が幾つも見え、陶芸の郷の町並みが続いている。
このやきもの通りを少し北に歩くと、陶の郷から眺めた大きな共同の登り窯の前に出て、登り窯が山腹に伸びている。
随分長い巨大な登り窯である。
又、手前の窯元のところにも長い登り窯が見える。
そして これらの登り窯の隣向こうが稲荷大明神の森で、境内にある大きなアベマキの巨木が、森のように見えていたのです。
大きな登り窯が通りの山側に見える稲荷大明神周辺のやきもの通りにある立杭の登り窯で一番古いもののひとつ 共同窯
目指す「伝市窯」はこの稲荷大明神のすぐ横。すぐ場所が知れたので、まず 私の興味 この立杭の登り窯を眺めに行く。
ほんとうに長い窯。私の登り窯のイメージと少し違うので興味津々。
以前から気になっていた立杭の登り窯で 全長47m
9袋の登り窯。
この立杭の登り窯では薪を横から投げ入れ燃焼させる部分とその後ろに焼き物を詰める窯詰め部で構成された燃焼室(「袋」というのだそうだ)が
幾つも 縦に連結されてひとつの登り窯を構成している。「袋」ひとつが長いなぁ・・・・・・。 そして 窯の横に幾つも並ぶ窓も気になる。
私の知る登り窯は萩焼窯元などで見た連房式の登り窯で、は一区切りの燃焼室を「袋」とはいわず「房」と呼び、このドーム状の大きな燃焼室に薪を投げ入れる燃焼部と窯詰め部がコンパクトに収まり、次の房のドームが一部乗っかる形で連結されているので、長さはそれだけ短かくコンパクトな長さになっている。
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「袋」が繋がる形の立ち杭の登り窯 (9袋)
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連房式の登り窯(2房) |
この大きな共同登り窯の北隣が稲荷大明神の境内で、この境内の塀に沿って北へ入る道があり、そこに「伝市窯」がありました。
又、この稲荷大明神の前 東側がオープンになっていて、田園の向こうに車を止めた陶の郷や陶芸館が見えている。
やきもの通り稲荷大明神前 2012.7.10.
稲荷大明神の巨木アベマキ その横の細い道を山側に入ったところに「伝市窯」がありました
稲荷大明神前から 東側 田園や川の向こう側に左 陶芸美術館 右 陶の郷 2012.7.10.
稲荷大明神の境内の塀に沿って北へ入る道を入った右手が「伝市窯」
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伝市窯 市野伝一さんの作陶風景
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伝市窯の窯元 市野伝市氏は 本当に気さくな方で、植木鉢を焼く魅力 そして 窯焚きの魅力を次から次へと話してもらいました。
陶芸家というより、根っからの陶芸の職人さんといった感じの方でした。
また、話している途中で、ひっきりなしに 注文の電話 それも 何ヶ月も待たねばならぬ登り窯で焼いたもの・・・ビックリでした。
家内もすっかり気に入って、訪れた記念写真も取って、朝顔仲間のも含め、朝顔用の植木鉢を沢山買い込みました
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伝市窯の植木鉢は底の穴が大きく植木鉢そのものの通気性も良く草花の根が腐りにくく、
良く育つのだそうだ。
「丹波焼が植木鉢に良いのであれば、みんな 作りそうですよね」というと、
笑いながら
「器の土そのままで焼いたら 草花みんな枯れてしまう。
配合・形・大きさ みんな草花にあうよう長年 工夫している。
そやから 鉢の底には「伝」の印が押したぁる 」と自信に満ちた答え。
そらそうやなぁと。
そんな間にも 植木鉢がひとつ出来上がりました。
80歳を超えた人とは思えぬ元気な方で、ろくろを回す作陶のすぐそばで
写真を取らせてもらったり、また買った植木鉢も自ら梱包してもらいました。
ビックリの陶芸家さんこっちの気分も爽快
手ひねりで 植木鉢専門に作る陶芸家さんが折られることにもビックリしましたが、
植木鉢一つ一つに込めた陶芸の技
知らぬ世界でしたが、ここにも「日本のものづくりの技」があると・・・。
「今度立杭に来たら又 訪ねよう。」と。
エネルギーをもらって 伝市窯を後にしました。
2012.7.10. by Mutsu
Nakanishi
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求めた伝市窯の植木鉢
もっとも 登り窯のものではありませんが・・・ |
《 追伸 》
7月末になって 朝顔が咲き出しましたが、伝市窯の鉢に植え替えた朝顔はまだ咲かず。
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【参考】
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Country Walk 風来坊 2008 |
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http://infokkkna.com/ironroad/2008htm/2008walk/7walk07.pdf |
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Country
Walk 風来坊 2011
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初窯・本焚きの見学記
2011.1.15.
http://www.infokkkna.com/ironroad/2011htm/walk8/1103tnkahatsugama00.htm
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萩焼
陶房葉月 田中講平さんのホームページ |
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http://www.k2.dion.ne.jp/~hazuki/daybook/daybook00.htm
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