■ 年のはじめに
2010年 大きく時代が変る年 激動の年 新しい一年 期待と不安が交錯する年の初め
価値観がくるくる変る激動の時代 昨年は周りを見ながら 右往左往の1年でした。
とにかく 社会の不安感を一層して落着いた暮らしが出来る安定へ早くなってほしいもの。
今 街で若者に「幸福ですか?」問いかけると皆 異口同音に「幸福だ」と即答するという。
本当に幸福なのだろうか・・・・・
考えることよりも 「ほかの人に取り残されるまい」とする建前が先に優先する答えだという。
この答えを発することで 自分を駆り立て 元気を出して 突き進んでゆくのだと言う。
現実をみることも先の展望もなく、「みんなで渡れば 怖くない」式に先へ先へと突き進む。
逆に現実を見ることの怖さに躊躇するのだとも言う。
老齢期に入って、社会の一線から離れて 若者の考え方についてゆけなくなっているのかと思っていましたが、
若者の不安感もその実大変なものらしい。
コミュニケーションの基本は 相手を分析したり、批評するのでなく 共に考える感性の言葉を伝えることだと言う。
「ほかの人を思いやる」ことから一番離れている今、
早く景気が持ち直し、時代を振り返れるようになりたいものです。
本年が平和で明るい年でありますよう 本年もよろしくお願いします。
2010.1.1. Mutsu
Nakanishi
アジアの西の端トルコ半島 アナトリアで鉄技術を育んだヒッタイト 最近では その起源はBC19世紀に遡るといわれ、紀元前12世紀頃ヒッタイトが滅ぶと各地に「鉄」が伝播し、東アジア中国には 紀元前9世紀に伝来。
中国ではその後 従来の塊錬鉄法に加え 溶融銑鉄を造る製鉄技術を発展させ、後漢の時代(1世紀頃)に巨大炉で大量の銑鉄を製造する技術を完成させた。そして 漢が滅亡して統制が外れる3世紀頃には朝鮮半島での製鉄が始まる。
そして 日本で製鉄が始まるのは6世紀。 それから 脈々と日本での「鉄」の歴史が今に続いている。
そんな「鉄」が今 地球温暖化に遭遇し、化石燃料(石炭・コークス)を多量に使い、炭酸ガスを大量放出する産業として苦境に立っている。
「産業の米」「鉄は国家なり」と呼ばれ、郷土を開拓して、文化を育んで 人々の生活を豊かにし、その時々にあわせて 常に新しい時代を切り開いてきた「鉄」。
でも 今までに遭遇しなかった自然異変が我々の身にも直接 影響を与え始める時代に直面して
地球に生きるすべての人・動植物との共生を考えねばならぬ時代
我々ひとりびとり そして産業も 身勝手な自己流の議論・例外は許されまい。
今 待ったなしに「効率」「自己」から「環境」「共生」へと大きく舵をきらねばならない。
こんな時代に「鉄」はどんな答えを出してゆくのだろうか・・・・・・・
そんなことに眼が行く昨今 ある仲間から発せられた素朴な質問
「
たたら製鉄でつくった鉄 何で錆びにくいのか?? 」
「たたら製鉄」は環境に優しい「鉄」
。そして、たたら製鉄はその製鉄法ばかりでなく その製品も環境に優しいのでは・・・・・
『たたらの技術は 「知恵から知識へ」そして「知識から知恵へ」
このたたらの技術が時代の要請に答えるヒントはないのか???
そんな漠然とした たたら製鉄への思いとともに
鉄鋼産業はこの地球環境改善にどんな取組を進めているのか 一度調べてみようと。
「たたら製鉄」は製鉄原料・砂鉄を加熱・還元するガスとして木炭を使い、化石燃料(石炭・石油)を使わない自然循環型なので
単にそれを差しているのか ????と。そうだとしたら 現在の巨大製鉄産業にはとてもやないが、環境破壊なしには木炭原料を賄えない。
でも これは あまりにも単純すぎる誤解でしたが、「千数百年古来の製鉄技術 たら製鉄の技術が炭酸ガス放出を抑制する省エネ技術のルーツでは??」と調べてみて数多くの省エネ製鉄法の実用化取組が旧ピッチで進んでいることを垣間見れました。
たたら製鉄を現在の視点で「たたら製鉄」を見ると
砂鉄という表面積の大きな微粉の鉄原料を使い、強力な通風もあまり必要もなく、比較的低い温度でしかも緩やかな還元雰囲気でほかの金属にはあまりアタックせず、主に鉄にアタックして、還元反応を上げることが出来るのがみそで、高品質な鉄が得られるのがみそ。 表面積が大きい微粉原料を穏やかに還元するため、加熱・還元に必要なエネルギーは現在の製鉄に比べて 小さく省エネでの製鉄が行える。
今 鉄鋼業では たたら製鉄に学びながら 新しい技術を取り込み、省エネルギーでの製鉄技術を確立し、大幅な化石燃料の使用低減をはかる実用研究が展開されている。
たとえば 省エネ還元反応を実現する新鉄原料粉末ペレット塊の研究と省エネ反応解析・東京工大 永田和宏教授が提唱する砂鉄・微分鉄原料のマイクロ波加熱還元方式による高速・省エネ溶融還元製鉄法等々。
また、たたらの鉄が有する高品質・高機能性に着目した新機能製品が数々の既存分野・新分野での炭酸ガス放出を低減し、供給する新機能鉄製品を通じての社会全体での省エネルギーへの貢献もトライされている。
たとえば 自動車重量低減を可能にする強靭自動車構造材 錆びない鉄・高温耐熱材料などなど。
このほか、廃プラスチックの利用・製鉄プラントでの高水準廃熱回収等なども。
基本技術としてその必要性は認識していても、時間のかかる画期的な放出炭酸ガスの固定化サイクル技術を声高に叫んでいても タイムリミットに来ている地球環境の改善は果たせない。あまりよく知らなかった「鉄の地球環境改善への取組」。
日本の鉄鋼産業の持つ技術が地球環境改善への積極的な展開に早く広がってゆく道がつくことを期待しています。